産業廃棄物など事業活動から発生したごみは法律で決められたルールに沿って処分しなければなりません。
この適切な処分方法は、お金や手間がかかります。いざ廃棄しようとして、困惑した方もいるのではないでしょうか。
今回は事業ごみの不法投棄による罰則、さらに不法投棄を行いバレてしまった時の処罰について解説します。
違法な行為は必ずバレます。安易に考えずに罪の重さを確認しましょう。
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事業ごみの不法投棄問題とその罰則
平成16年に環境省が発表した「不法投棄アクションプラン」では不法投棄問題の現状について以下のような実情を挙げています。
(不法投棄の件数及び投棄量)
・新たに確認される産業廃棄物の不法投棄は、近年40万t前後(1,000件前後)で推移。
・15年度当初の全国の不法投棄残存総量は、約1,096万t(約2,500件)。
(不法投棄による影響)
不法投棄は、水質汚濁や土壌汚染等の環境面での影響はもちろん、原状回復費用(香川県豊島:総額447億円、青森・岩手県境:総額655億円)等の経済的損失をもたらすほか、周辺地域のコミュニティも破壊する等、社会的な影響も極めて大きい。
引用元:不法投棄撲滅アクションプラン
つまり不法投棄された事業ごみの処分が間に合わず、年々約40万t増加しています。
この不法投棄は周辺住民はもちろん、不法投棄物撤去に関わる人の労力、税金が使われることで自治体の財政を圧迫することで、あなたを含めた多くの人に悪影響をもたらすことになります。
事業ごみの不法投棄は「廃棄物処理法第25条」の規定により「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、またはこれの併科」という刑罰が科されます。懲役刑と罰金の両方が科されるケースもあります。
自分が不法投棄することはもちろん罰則対象になります。他にも事業ごみ廃棄(運搬・処理)の許可を得ていない業者に依頼した場合や依頼業者が不法投棄した場合も、事業者を含めて罰則対象になります。
不法投棄がバレて処罰を受けるケース
では、不法投棄はなぜバレてしまうのでしょうか。深夜など人目を避ければバレないだろうとも思うかもしれません。
不法投棄がバレて処罰を受けるケースを確認し、行政からは逃れられないことを認識しましょう。
防犯カメラ・パトロールに見つかる
不法投棄が社会問題となっている現在では、国や自治体、個人(土地所有者など)が眼を光らせています。
空き地や路地裏、人通りの少ない田舎道などには見えないように防犯カメラが設置されています。他にも不法投棄が多い場所として林の中などがありますが、近年では行政や土地所有者、地域住民が、そういった場所の見回りを行っているようです。
廃棄物の中に企業や個人の情報が残っている
不法投棄物を撤去・処分する際に、排出者の調査も行われます。
不法投棄する人は住所や氏名、企業名を隠蔽しようとしていますが、何も意味がありません。
法律のことを知らなくてもアウト
不法投棄だけでなく違法行為はすべて知らなかったでは通りません。例えば知らない道を車で運転していて、ゾーン30(最高速度30㎞)であったとしても知らなかったといって60㎞で走っていれば、速度超過により例外なく処罰となります。
不法投棄も同じで、その空き地(自分の所有地でない)に事業ごみを捨ててはならないことを知らかったといっても、例外なく処罰の対象になるのです。
正しい事業ごみの処分方法
正しい事業ごみの処分方法は「廃棄物処理法」を軸に各自治体によって定められています。一見難しそうに思いますが、ポイントを押さえれば正しくかんたんに処分することができます。
正しい処分方法のポイントは以下の3つがあります。
排出事業者(あなた)または業者が処理場へ直接搬入する
空き地などに廃棄することの他にも、地域のゴミ捨て場への廃棄も禁止されています。
事業ごみの不適切な処理は環境に悪影響をもたらしますので、事業者が責任をもって最終処理まで見届けなくてはなりません。よって処理場へ直接搬入しなければならないのです。
自治体から各行程に対応した許可を得ている業者に依頼する
事業ごみには一般廃棄物と産業廃棄物、特別管理産業廃棄物の3つに分類されており、さらにこれらを運搬・処理するための許可が必要になります。無許可の業者に依頼すると罰則の対象になります。
マニフェストの管理
マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、産業廃棄物の処分が適切なルートをたどっているか確認するため、業者に依頼した際に排出事業者の責務を代行証明するためのものです。
産業廃棄物の運搬・処理を業者に依頼する際にはマニフェストの管理が必要になります。