仕事をしていれば、それに伴って様々な事業ごみが発生します。
これら事業ごみは適切な処理をしないと人の健康や環境に悪影響をもたらしてしまうものばかりです。特に産業廃棄物に分類されるものには細心の注意を払わなければなりません。
さて実際に廃棄しようとしたときに、分別や運搬・処理業者への依頼に戸惑ってしまっていませんか。その悩みは産業廃棄物の処理工程を理解すれば解決できます。
今回は、産業廃棄物が処理される流れと、普段から心がけるべきことについて解説します。
事業主は事業活動で発生したごみを最終処分するまで責任を持たなければなりません。業者に任せれば大丈夫だと思わず、産業廃棄物処理ルートを知り、適切に処理されているか確認できるようにしなければなりません。
Contents
産業廃棄物が処理される流れ
産業廃棄物は以下の4つの処理工程に分かれています。
1)分別・保管
2)収集運搬
3)中間処理
4)最終処分
2)~5)は業者に委託することがほとんどです。
それでも適切な分別や保管を行うためやトラブルに対応するためには2)~5)の工程も知らなければなりません。
分別・保管
産業廃棄物は法令で20種類に分類されます。もちろん処分工程もそれぞれで異なります。ですから種類ごと(20種類)に分け、素材が複合されている場合は混合廃棄物として日頃から分別しておきましょう。
分別した産業廃棄物は回収業者が来るまで保管しなければなりません。この保管方法は厳格な基準が設けられております。
この基準は「廃棄物処理法」をもとに各自治体で定められていますので、管轄する自治体に確認しましょう。
収集運搬
産業廃棄物の中には運搬環境により変性(性質が変わること)するものがあります。ですから運搬する際は、適切な運搬方法や運搬容器に入れ処理場まで運ばなければなりません。
変性を防ぎ、外部への飛散・流出することを防止する、悪臭を放つことなく運搬する必要があります。適切な管理のもとに運搬する必要のある廃棄物は運搬業者に依頼しましょう。
その際、依頼業者に運搬対象廃棄物について確認をとることはもちろんのこと、自治体から許可がおりている業者か確認する必要があります。
産業廃棄物運搬業許可を自治体から得ているか確認しましょう。
また自治体から直接指定されている業者の場合はその限りではありません。
中間処理
産業廃棄物のリサイクルや最終処分(埋め立て等)の前処理を行います。化学的な毒性や爆発性のあるものを無害化する工程も含みます。
中間処理には、主に6つの処理方法があります。
- 選別
- 減容
- 破砕
- 焼却
- 脱水
- 中和
- 溶融
リサイクルやこの後の各処理を行うために分類します。
各工程で作業効率を上げるために産業廃棄物を小さくすることをいいます。減容方法には破砕、焼却、脱水があり、以下で解説しています。
プレス機で圧縮したり、破砕機で細かくしていく工程です。
燃焼することで廃棄物を小さくします。主に医療廃棄物に適用されます。
汚泥など水分を多く含む産業廃棄物に対して行われる減容法です。
廃酸や廃アルカリなど強い酸性・塩基性をもつ廃棄物を中和させ、危険な性質を弱くする工程です。
不燃物を1400℃以上で熱することによりガラス状にします。この処理により減容化や無毒化することができます。またこのガラス状の固形物(溶融スラグ)は建築や土木の資材として再利用されます。
最終処分
様々な処理工程を経て再利用不可能な状態のものだけが最終処分場へと運搬されます。
最終処分方法には、埋め立てや海洋埋没、管理施設での保管があります。最終処分場のひっ迫は従来から問題になっていますが、最近では再生利用の認識が高まり問題が鎮静化されつつあります。
効率を上げるための積替・保管
運搬業者は1回の収集運搬のたびに処理施設へ引き渡しているわけではありません。
ある程度まとまった状態で処理施設へ運搬していることが多いです(積替・保管)。
産業廃棄物の排出事業者の責任
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」において事業活動で発生した廃棄物の処分は、その排出事業者に責務があるとしています。
特に産業廃棄物の不適切な処分は人々の健康や環境問題に大きな悪影響をもたらします。廃棄物処理を業者に委託し管理外になっても、マニフェストの管理などを徹底して、トラブルを未然に防ぎましょう。
委託業者が不法投棄等行えば、排出事業者の責任も問われることがあるので十分に気を付けましょう。